農園だより

1月24日 晴れ

1月24日。晴れ。透きとおった青空に、筋になった雲がぼやけながら浮かんでいる。朝の打ち合わせでは、農園の土の話と、農園のこれからについての話。農園がこの先続いていくために、取り組まなければならないことを、スタッフ全員で確認する。最後に本日の予定。今日は出荷の日で、品種も数もかなり多め。夕方の出荷の時間に間に合うよう、気持ちをびしっと引きしめる。

まずは葉物から。ほうれん草と小松菜の調整。小松菜は外の葉が大きくひろがり、ところどころ虫がかじった穴があいている。葉をむしりながら、虫食いが星座のようだね、と誰かがつぶやく。まわりで作業をしていた人たちも、本当にそうだね、とつぶやきながら、ふふふと笑う。太陽に透かしてみると、張りめぐらされた葉脈が宇宙のようにも見える。

調整が終わった葉物は、水をいっぱいにはった流しに運ばれる。泥を洗い流し、さっぱりした姿で、また作業台に戻る。分量を量り、袋につめ、テープで止められて、となりの作業場にまとめて運ばれていく。いくつもの野菜が人の手から手へ、作業場で行ったり来たりをつづけている。空っぽになった流しには、真っ赤な王滝かぶが気持ちよさそうにプカプカと浮かんでいる。

大根、ネギ、里芋、白菜。それぞれの持ち場で、黙々と作業をすすめる。お昼ご飯をはさんで、まだまだ作業はつづく。作業場いっぱいにつまれた野菜を、ひとつひとつ、出荷用にまとめていく。作業場の外にでると、人参がひなたぼっこのように広げられている。どれも個性豊かで、ずいぶんと賑やかにみえる。

日も落ちはじめ、作業も佳境にはいる。何人かは出荷用の箱づめ、何人かは残って引き続き野菜の準備。作業場の棚にお菓子の箱ができていて、つかれた体にチョコレートがうれしい。ストーブに火がはいる。出荷まではあと少し。ラストスパートで皆で作業をすすめる。時間ぎりぎりで、なんとか出荷作業をやり終え、作業場の整理と掃除をして、本日の作業は終了。

帰りがけ、農園でとれたお米をいただく。陸稲(おかぼ)といって、畑でとれたお米。田んぼではなく、畑でもお米が栽培されることは知らなかった。農園にきてから、はじめて知ることも多い。からし菜の種で粒マスタードがつくれること。借金なしという変わった名前の大豆があること。野菜が出荷されるまでに、たくさんの人や自然や虫や微生物の手間ひまがかかっていること。ずっしりとした重みを背中に感じながら、久々の玄米を楽しみに家路につく。

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